2025年05月21日
アカウント営業とは?意味や業務内容、その他の営業職との違いを解説

アカウント営業はターゲットとなる顧客のあらゆる悩みに対して向き合う、幅広い業務に対応した営業スタイルです。
本記事では、アカウント営業の具体的な業務内容や、他の営業スタイルとの違いなどを解説していきます。アカウント営業のメリット・デメリットや求められるスキルも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
アカウント営業とは?顧客との関係構築を重視する営業
アカウント営業とは、特定の顧客(アカウント) との信頼関係を重視し、長期的な視点でさまざまな悩みを解決するサポートが営業スタイルです。。
顧客の売り上げ増加が最終的な目標ですが、顧客をサポートする最初のアプローチとして、まずは信頼関係を構築していきます。
ここでは、アカウント営業と以下3つの営業スタイルの違いを紹介します。
- アカウント営業とソリューション営業の違い
- アカウント営業とプロダクト営業の違い
- アカウント営業とルート営業の違い
上記3つの営業スタイルとの違いを比較すると、アカウント営業についてより深く理解できるでしょう。順番に詳しくみていきます。
アカウント営業とソリューション営業の違い
ソリューション営業は、顧客が抱える特定の課題を短期的に解決することを目的とした提案スタイルが特徴です。
既存の商材やサービスを組み合わせて最適な解決策を提示し、単発の取引となることも多いため、関係構築よりも迅速な課題解決を重視します。また、新規顧客へのアプローチも実施しますが、こちらも関係構築よりも短期的な成果が優先される傾向にあります。
一方でアカウント営業は、長期的な信頼関係を前提とした提案スタイルであり、顧客の顕在・潜在ニーズを見極めながら、中長期的に価値を提供していくことを重視します。
新規顧客の開拓も重要な業務の一つであり、最初から深い関係構築を前提としたアプローチを行う点が、ソリューション営業との大きな違いです。
アカウント営業とプロダクト営業の違い
プロダクト営業は、自社の商品やサービスをより多くの顧客に販売することを目的とした提案スタイルです。商品自体の魅力を訴求することが主であり、個別の課題に深く踏み込んだ提案は行わない場合が多いといえるでしょう。
新規顧客の獲得については、広告やキャンペーンなどを通じて広く見込み客を集め、数を追う形で進めるのが特徴です。
一方、アカウント営業は、特定の顧客に対して個別のニーズや課題に応じた提案を行うスタイルです。提案の中心は課題解決であり、自社プロダクトはその手段にすぎません。
また、新規開拓においても、一人ひとりの顧客と信頼関係を築きながら、長期的に伴走する姿勢が求められる点が、プロダクト営業との大きな違いです。
アカウント営業とルート営業の違い
ルート営業は、既存顧客との継続的な取引を前提に、新商品やサービスの提案を行う営業スタイルです。提案の内容は商品紹介や追加提案が中心であり、安定した取引関係の維持を主な目的としています。
また、新規顧客の開拓はほとんど行わず、担当顧客との関係を繰り返し構築することに重点が置かれます。
一方、アカウント営業は、顧客ごとの課題や将来的なニーズを見据えた提案を行うスタイルであり、商品やサービスの提案はあくまで課題解決の手段です。
既存顧客との関係を深めるだけでなく、新規顧客の開拓にも積極的に取り組み、時間をかけて信頼関係を築いていく点が、ルート営業との明確な違いでしょう。
アカウント営業のメリット3つ
ここからは、アカウント営業のメリットを3つにまとめて紹介します。
- 顧客との関係を深めやすい
- 売上につながりやすい
- ノウハウを他の顧客へ活かせる
アカウント営業ならではのメリットを理解すると、実際の業務をより具体的にイメージできます。それぞれ詳しくみていきましょう。
顧客との関係を深めやすい
基本的にアカウント営業では、担当する顧客数が絞られているため、各顧客に対して時間をかけて信頼関係を構築していけます。
その他の営業では、商品やサービスの販売や課題解決などの目的が何よりも優先されるため、予算やリソースが限られるような切羽詰まる状況になると、顧客とじっくり向きあえない可能性もあるでしょう。
しかし、アカウント営業は、顧客のお悩み相談役のような役割となり、単なる「売り手と買い手」の関係を超えたビジネスパートナーになることを目指します。
売上につながりやすい
アカウント営業は、売上につながりやすい点も大きなメリットです。
顧客との信頼関係を構築できているため、顧客のニーズを把握して課題解決につながる提案を最適なタイミングで行え、営業の成約率が高くなり売上につながりやすいです。
また、アカウント営業による深い信頼関係は、アップセルやクロスセルなどで、取引規模を拡大しやすいです。
ノウハウを他の顧客へ活かせる
ノウハウを他の顧客へ活かせる点も、アカウント営業のメリットの1つです。
アカウント営業では、顧客と長期的な関係性を築く中で、ビジネスモデルなどの情報に触れる機会が多くなります。
こうして蓄積された知見や事例は、別の顧客への提案や課題解決にも活用しやすく、営業としての力を高められる点が大きなメリットです。
単なる取引の枠を超えて、顧客の内側に深く入り込むアカウント営業だからこそ、他の顧客にも伝えられる実践的ノウハウが蓄積されやすいといえるでしょう。
アカウント営業のデメリット2つ
アカウント営業には、以下2つのようなデメリットも存在します。
- 売上が特定の顧客へ依存しやすい
- 関係構築まで時間がかかる
アカウント営業のデメリットも把握することで、実際に働く際の大変さもイメージしやすくなります。それぞれ詳しくみていきましょう。
売上が特定の顧客へ依存しやすい
アカウント営業のデメリットに、売上が特定の顧客に大きく依存しやすい点があげられます。
アカウント営業では、同時に複数の顧客を多く抱えずに特定の顧客との関係を重視するため、特定の顧客が売上全体に占める割合が大きくなりやすいです。
そのため、仮に主要な顧客との取引が縮小したり、契約が終了したりすると、会社の売上に大きな影響を与えてしまう恐れがあります。
このように、アカウント営業は、売上が特定顧客に依存することで、想定外のリスクが発生した際に、自社の経営にまで大きな支障をきたす場合がある点がデメリットです。
関係構築まで時間がかかる
アカウント営業は、関係構築まで時間がかかる点もデメリットです。
一般的な営業であれば、商品やサービスの販売が目的のため、売り上げ発生までの時間も比較的短く、ある程度予想しやすいです。
しかし、アカウント営業では、顧客との深い信頼関係を築くことを重視するため、売上が発生するまでタイムラグが長くなるかもしれません。
アカウント営業は、すぐに売上を求めず、長期的な視点で顧客と向き合う覚悟が必要な営業スタイルです。
【進め方】アカウント営業の具体的な6つのプロセス
ここからは、アカウント営業の具体的なプロセスを6つに分けて紹介します。
- ターゲットの絞り込み
- 事業課題のリサーチ
- 顧客との関係構築
- アカウント戦略立案
- 提案とクロージング
- 進捗確認とアフターフォロー
上記プロセスを他の営業職とも比較しながら、アカウント営業の特徴をさらに詳しく理解していきましょう。
ターゲットの絞り込み
アカウント営業の最初のプロセスでは、ターゲットの絞り込みを行います。
- 業種・業界
- 会社規模(資本金、売上、従業員数)
- 事業内容
- 成長性
- 直近の経営状況
- 想定課題
また、自社の過去の実績や強みなどから、相性のよい顧客企業を絞り込むことも必要です。
顧客との深い信頼関係の構築が主な目的のため、ターゲット選定の段階でどれだけ企業を厳選できるかが、アカウント営業の最初のステップでは重要です。
事業課題のリサーチ
ターゲットアカウントが絞り込まれたら、次に顧客企業の事業課題をリサーチします。
アカウント営業では、顧客と信頼関係を築くことがとても大切です。ですが、それだけで成果が出るわけではありません。
大切なのは、関係性を土台にして、顧客の事業や業界についてきちんと理解し、どんな課題を抱えているかを見つけ出すことです。
その上で、「この会社だからお願いしたい」と思ってもらえる提案ができて、はじめて売上につながります。
アカウント営業では、こうした一連の流れをつくるために、リサーチがとても重要です。
顧客との関係構築
リサーチが完了した段階で、顧客との関係構築に移っていきます。
顧客との関係性を重視するアカウント営業の、最も重要なプロセスであり、関係構築フェーズの結果がその後のビジネスを大きく左右します。
この段階では、課題解決やソリューション・プロダクトの提供を意識せず、顧客ニーズや課題の把握に尽力します。
関係構築プロセスでは、顧客を定期的に訪問して、顧客担当者とのつながりを深めるとともに、顧客企業を理解しようとする姿勢を示すことが重要です。
アカウント戦略立案
顧客との信頼関係構築を進めるとともに、顧客ごとのアカウント戦略も立案していきます。
アカウント戦略とは、顧客が実際にどのような課題を抱えていて、どのようなサポートをすれば価値提供できるか、具体的な取引に関する方針です。
アカウント戦略が固まらなければ、単なる関係構築のみで終わってしまい、自社の収益につながりません。
「事業課題のリサーチ」で想定した顧客の課題とも照らし合わせながら、実際に何ができるかをより具体的に練っていきます。
提案とクロージング
アカウント戦略が固まれば、提案とクロージングをしていきます。ここからのプロセスは、ソリューション営業やプロダクト営業などの提案・クロージングと大きく変わりません。
ただし、アカウント営業の場合は、自社の商品やサービスが主体ではなく、顧客の課題解決が最優先事項です。
そのため、提供する課題解決策は、顧客のビジネスニーズに合わせて柔軟にカスタマイズする必要があります。
関係性の拡大
アカウント営業は、ただ単に「売る相手」として接するのではなく、ビジネスパートナーとしての信頼を築いていきます。
一度築いた信頼は、新規案件の相談や契約の継続といった形で返ってきます。アカウント営業は、商品を売る仕事であると同時に、人と人とのつながりを広げていく役割も担っているのです。
アカウント営業に求められるスキル4つ
最後に、アカウント営業に求められるスキル4つを紹介していきます。
- 関係構築力
- コミュニケーションスキル
- 仮説構築力
- 情報収集力
アカウント営業への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
関係構築力
アカウント営業では、関係構築力が何よりも大事です。関係構築力がなければ、アカウント営業の仕事は難しいといっても過言ではありません。
関係構築には、誠実な態度はもちろんのこと、顧客の言葉に親身になって耳を傾ける傾聴力や相手の立場や状況を理解する共感力が必要です。
また、顧客からの連絡には迅速かつ的確に返信する、約束を守るなどの基本的なビジネスマナーも重要となります。
長期的な視点でお客様と向き合い、場合によっては個人的なつながりも築きながら、 良好なパートナーシップを構築できる人が、アカウント営業では活躍しやすいでしょう。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルもアカウント営業では必須です。
アカウント営業の場合は、顧客との信頼関係構築という抽象的な目標となるため、汎用性の高いコミュニケーションが求められます。
第一印象や話しやすい空気作り、言葉選び、相手に興味を持つ姿勢など、どのような営業相手とも円滑にコミュニケーションが取れる人ほど、アカウント営業で力を発揮しやすいです。
仮説構築力
アカウント営業では、仮説構築力も求められます。
顧客との良好な関係構築には、顧客からの信頼を獲得する必要があります。信頼を獲得するには、顧客に対して「自社のことを理解してくれている」と感じてもらえるかが重要です。
そのため、得られる情報から顧客の状況や課題、今後の展開など、想定されるパターンをすべて押さえる仮説構築力が欠かせません。
顧客は今後〇〇のような課題に直面する可能性がある
〇〇のようなソリューションを導入すれば、貢献できるのではないか
高度な仮説構築力をもとに、顧客に喜んでもらえるような提案をできれば、信頼獲得につながり、深い関係性を構築できます。
情報収集力
情報収集力もアカウント営業に求められるスキルです。
関係構築前の仮説の立案や、関係構築後の課題解決の提案など、アカウント営業はあらゆる場面で情報収集する機会が発生します。
また、仮説構築や提案するソリューションの品質は、収集した情報の質によって変動するため、信用できる情報源から、どれだけ正確で的を射た情報を収集できるかがアカウント営業では重要です。
さらに、常に業界動向に目を通して、顧客のビジネスに影響する可能性のあるニュースには敏感に反応し、顧客を先回りして情報を仕入れるスピード感も求められます。
このような情報収集力が、質の高いアウトプットを生み出し、何よりも顧客の感心を集められ、信頼獲得につながります。
まとめ |アカウント営業への転職はhape Agentへご相談!
本記事では、アカウント営業の業務内容や、他の営業スタイルとの違いなどを解説しました。
顧客との長期的な関係構築を重視するアカウント営業は、求められるスキルが高度ではあるものの、やりがいの大きな仕事です。
これまでの、商品やサービスの提供が主な目的だった営業スタイルとは違った形の営業職にチャレンジしてみたい方は、ぜひアカウント営業をチェックしてみてください。
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この記事の監修者
hape Agent編集部
営業職特化だから選ばれる営業転職エージェント「hape Agent」の編集部です