2025年04月27日
カスタマーサクセスと営業は違う?具体的な業務と役割をそれぞれ解説

カスタマーサクセスの仕事は、「契約したら終わり」ではなく、導入後も顧客が価値を感じ続けられるように寄り添うのが特徴です。
営業職と似ているようで異なり、それぞれの役割や働き方が違うため、それぞれの特徴を理解すると、自分がどちらの仕事に向いているか判断できます。
本記事ではカスタマーサクセスの業務内容や向いている人の特徴、将来性などを紹介しながら、営業職との違いを解説していきます。カスタマーサクセスが向いている人の特徴も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
カスタマーサクセスとは?営業との違いを解説
カスタマーサクセスとは、自社製品を継続して利用してもらうために、商品やサービスを通して顧客と積極的に関わりながら、さまざまなサポートをする職種です。
一般的に営業は、売上となる契約獲得がゴールになります。
自動車や戸建ての営業をイメージするとわかりやすいでしょう。契約後のフォローは、主にトラブルや問い合わせがあった場合のみに限られることが多いです。
一方で、カスタマーサクセスは、契約後に自発的に顧客との接点を増やしていきます。
カスタマーサクセスを導入している事業は、継続して自社製品を利用し続けてもらうことが前提のビジネスモデルです。
そのため、自社製品の説明や効果的な活用方法などを提案しながら、顧客と伴走していきます。
【将来性】カスタマーサクセスの市場価値は高いのか?
カスタマーサクセスの市場価値は、今後も高まると予想されています。
元々、カスタマーサクセスは、サブスクリプション型のサービスの流行に合わせて知られるようになりました。
サブスクリプション型のサービスは、顧客がサービスを利用し続けることで、そのサービスの体験価値を実感してもらうサービスになります。
しかし、そもそも顧客が、そのサービスの利用の仕方を十分に理解していないような場合には、サービス本来の価値を実感してもらうのが難しくなります。
そのため、サービスの体験価値をしっかりと実感してもらうために、顧客に寄り添ってサポートをするのがカスタマーサクセスの仕事です。
そのため、自発的に顧客とコミュニケーションを取り、付加価値を提供する職種として、近年注目を集めています。
サブスクリプション型のサービスの増加と、競合優位性を得るための手段としてもカスタマーサクセスは今後も需要が増え続けるでしょう。
よく似た2つの仕事とカスタマーサクセスの違い
カスタマーサクセスとよく似た仕事として、コンサルティングとカスタマーサポートがあります。本章ではカスタマーサクセスと2つの仕事の違いを解説していきます。
- カスタマーサクセスとコンサルの違い
- カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
それぞれ詳しくみていきましょう。
カスタマーサクセスとコンサルの違い
職種 | 目的・役割 |
---|---|
カスタマーサクセス | 自社商品・サービスの理解を深めてもらい、より有効に活用できるようにサポートしながら顧客のロイヤルティを高める。 |
コンサルティング | 顧客の課題解決を目的とし、現状分析や戦略の立案、実行支援などを行う。 |
カスタマーサクセスは、顧客満足度と自社へのロイヤルティの向上が目的であるのに対して、コンサルティングは顧客の課題解決がゴールです。
なお、Web・ITコンサルティングの一環として、ツールの導入と実行を支援する場合は、業務範囲がカスタマーサクセスと類似するケースもあります。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
職種 | 目的・役割 |
---|---|
カスタマーサクセス | 自社商品・サービスの理解を深めてもらい、より有効に活用できるようにサポートしながら顧客のロイヤルティを高める。 |
カスタマーサポート | 返品や交換、修復など、足りていない状況からの回復や穴埋めによってトラブルの解決がゴールであり、顧客発信で受動的に対応する。 |
カスタマーサクセスとカスタマーサポートでは、仕事の起点と目的が大きく異なります。
カスタマーサクセスでは、顧客の満足度を高めるために自発的にコミュニケーションを取ります。
一方で、カスタマーサポートは、顧客からのクレームや問い合わせに対して受け身となってサポートを行います。顧客の不満の解消がメインとなり、足りない部分を補うのがカスタマーサポートの主な業務です。
【カスタマーサクセスの仕事内容】具体的な業務4つ
ここからは、カスタマーサクセスの具体的な業務を4つに分けて紹介します。
- サクセスプランの作成
- サービスの導入支援
- 顧客の活用状況の確認
- 追加サービスの提案
上記の業務を理解して、よりカスタマーサクセスの具体的なイメージを沸かせていきましょう。
サクセスプランの作成
カスタマーサクセスの最初の業務は、サクセスプランの作成です。サクセスプランとは、自社商品・サービスを利用して顧客満足度を高めるための具体的な計画です。
ただ顧客と接点を持つだけでは、顧客満足度の向上や継続利用にはつながりません。どのようにサービスを利用してもらうことで、本来の目的を達成することができるのか、事前に計画を立てるのがサクセスプランです。
サクセスプランにはKPIや顧客の行動などを主な指標として、定性的・定量的な目標に落とし込みます。
サービスの導入支援
サービスの導入支援は、オンボーディングとも呼ばれ、契約した顧客がサービスを利用開始するまでのサポートです。
例えば、SaaSのようなサービスを利用する前に求められる、基本情報の記入や書類のアップロード、基本の設定などを顧客と伴走しながら進めます。
サービスの導入支援は、あくまでオンボーディングの一部です。サービス導入後に、顧客が早く効果的に自社のサービスを使えるように支援するのも、オンボーディングの大切な業務の一環です。
契約後最初のステップでサポートが不十分と感じ取られてしまうと、顧客の不信感につながってしまう恐れがあります。
また、マニュアルを見ればわかるような内容のサポートしかできないと、付加価値を感じてもらえず顧客に満足してもらえません。
顧客のニーズを満たし、スムーズでありながら最大限価値を感じてもらえる導入支援が求められます。
顧客の活用状況の確認
カスタマーサクセスでは、アダプションとも呼ばれる、サービス定着のサポートを中心とした業務も行います。
顧客がサービスの機能をフル活用できていない
便利な機能を認知しておらずもったいない状態になっている
無駄な追加プランに課金したままになっている
上記のような場合に、カスタマーサクセスが状況の確認と役立つ利用方法の提案を行います。継続利用してもらうためには、顧客満足度の向上が欠かせません。
単なる利用にとどまらず、実際の業務にどれだけ深く根付き、成果につながっているかが重要です。
そのため、アダプションでは顧客のつまずきや課題を早期に発見・解消していくことが求められます。結果として、さらなるサービスの利用拡大や活用が進み、導入効果を最大限に引き出していきます。
追加サービスの提案
カスタマーサクセスでは、アップセルやクロスセルなどの追加サービスの提案も担当します。
アップセル | さらに単価の高い上位の追加サービスの提案 |
---|---|
クロスセル | 関連する付属サービスの提案 |
アップセルやクロスセルは顧客単価を高めるために重要ですが、顧客との信頼関係の構築が必要です。
そのため、追加サービスの提案を行うまでに、サービスの利用価値を感じてもらうように進めていきます。
カスタマーサクセスが向いてる人の特徴4つ
ここからは、カスタマーサクセスが向いてる人の特徴を4つにまとめて紹介します。
- 接客や顧客サポートが得意
- 自社製品を愛せる
- チームで仕事をするのが好き
- 学習意欲がある
上記の特徴を自身と照らし合わせながら、カスタマーサクセスの適性を判断してみてください。
接客や顧客サポートが得意
カスタマーサクセスは、接客や顧客サポートが得意な人に向いています。
カスタマーサクセスとカスタマーサポート、一般的な接客は少し異なるものの、顧客と接してサービスを提供する点では同じです。
そのため、接客業や販売業などの経験を持ち、お客様のサポートをするのが得意な人にカスタマーサクセスは向いています。
顧客最優先の現場で培われた臨機応変な対応力や、言葉遣い、マナーなどはカスタマーサクセスの場面でも役立つでしょう。
自社製品を愛せる
自社製品を愛せる人も、カスタマーサクセスが向いています。
カスタマーサクセスの目的は自社の商品・サービスを通じて顧客に成功してもらうことです。
しかし、自社製品に不満があると、自信を持って顧客へサービスの提案ができません。
また、自信の無さが顧客へ伝わってしまい、利用の中止につながってしまう恐れもあります。
自社製品がどのようなターゲットのどのような悩みを解決するのか
競合と比較した際にどのような強みと弱みがあるか
詳細に分析して、心の底から製品をおすすめできる人は、カスタマーサクセスでもパフォーマンスを発揮しやすいです。
チームで仕事をするのが好き
カスタマーサクセスは、チームで仕事をするのが好きな人に向いています。
カスタマーサクセスが採用されている営業部では、インサイドセールスやフィールドセールスなど、他の役割も設けられている場合が多いです。
効率的な営業に向けたマーケティングチームや、契約を獲得するセールスチームがあってこそカスタマーサクセスの仕事があります。
そのため、社内の他チームとコミュニケーションを取りながら、スムーズに連携しつつ仕事を進めることが求められます。
個人の力だけでなく、チーム全体でまとまって目標達成に向けた仕事が好きな人は、カスタマーサクセスが向いているでしょう。
学習意欲がある
カスタマーサクセスは、学習意欲がある人におすすめです。
自社製品のアップデート情報や業界のトレンド、顧客のビジネスの動向など、カスタマーサクセスはさまざまな知識を身につけなければなりません。
特に、顧客ビジネスの課題解決がゴールとなっているカスタマーサクセスでは、多少のコンサルティング要素も必要になるケースもあります。
カスタマーサクセスと営業が連携するメリット3つ
ここからは、カスタマーサクセスと営業が連携するメリットを3つご紹介します。
- 顧客満足度の向上
- 売上の最大化
- 収益の安定化
カスタマーサクセスと営業は目的や業務内容が異なる種目です。2つが同じ事業部内で連携すると、さまざまなメリットを受けられます。それぞれ詳しくみていきましょう。
顧客満足度の向上
カスタマーサクセスと営業が連携するメリットの1つに、顧客満足度の向上があげられます。
営業とカスタマーサクセスが、それぞれの業務で得た情報を共有すると、お互いの仕事によい影響を与えられます。
例えば、営業が感じた顧客ニーズをカスタマーサクセスへ共有すれば、顧客ごとにパーソナライズされた価値やサービスの提供が可能です。
それぞれが独立して業務を行わずに、定期的なミーティングや打ち合わせを通じた連携が顧客の満足につながります。
売上の最大化
カスタマーサクセスと営業の連携は、売上の最大化にもつなげられます。
カスタマーサクセスが行うアップセルやクロスセルに関するデータを営業へ共有できれば、商談の時点で顧客単価を高められます。
また、カスタマーサクセスで判明する「今はこの機能しか使っていないが、実は別の業務でも応用できそう」などのちょっとした顧客のニーズを営業へ反映できれば、契約率も上昇するでしょう。
カスタマーサクセスと営業が連携すると、利益率の上昇など、事業全体の効率アップが可能です。
収益の安定化
収益の安定化も、カスタマーサクセスと営業が連携するメリットの1つです。
営業とカスタマーサクセスが独立して業務を行っていると、顧客は契約前と後でギャップを感じてしまい、サービスの解約につながる場合があります。
例えば、契約を獲得するために、商談時に過度に顧客へ期待を持たせて営業するケースです。契約した顧客は、カスタマーサクセスから伝えられるサービスの情報と、営業から聞いた内容のギャップを感じてしまうでしょう。
このように、カスタマーサクセスと営業が目線を合わせて、情報や認識の齟齬をなくす連携は収益の安定化にとって大切な要素の一部です。
【具体例】カスタマーサクセスを導入している企業5選
最後に、カスタマーサクセスを導入している企業の例を5つご紹介します。
- 株式会社SmartHR
- Sansan株式会社
- 株式会社マネーフォワード
- 株式会社ラクス
- スパイダープラス株式会社
上記の例を参考にして、カスタマーサクセスを実施している企業で働くイメージをしてみてください。
株式会社SmartHR
出典:SmartHR
株式会社SmartHRは、クラウド型人事労務ソフトを提供しているSaaS企業です。
SmartHRの顧客にはエンタープライズから中小企業と幅広く、それぞれが抱える課題やニーズも多岐に渡ります。
そのため、大規模なカスタマーサクセスチームを構成し、サービスの品質を高めながら、なおかつ顧客満足度の向上にも取り組んでいるようです。
「日本のスタートアップにおけるカスタマーサクセスのロールモデルとなるリーディングカンパニー」を目指しているようです。業界最前線を走りながらカスタマーサクセスの可能性と向き合い続けている企業と言えるでしょう。
参照:SmartHR カスタマーサクセス 2023-2024
参照:SmartHR カスタマーサクセス 2025(グロースマーケット事業本部)
Sansan株式会社
出典:sansan
Sansan株式会社は、クラウド型名刺管理システムを始めとした、営業DXサービスを提供するSaaS企業です。
顧客のサクセス(成功)を第一に考え、目標設計や業務プロセスの改善、データに基づいた戦略の立案など、コンサルティング要素も取り入れたカスタマーサクセスを展開しています。
サポートという概念ではなく、顧客の成功にコミットする攻めのカスタマーサクセスが注目を浴びている企業です。
参照:Sansanのカスタマーサクセスは企業変革コンサルで顧客を成功に導く
参照:意思と意図を持って動き、顧客のビジョンを実現する。Sansanのカスタマーサクセス
株式会社マネーフォワード
出典:マネーフォワード
株式会社マネーフォワードは、クラウド会計ソフト「マネーフォワード」を始めとするさまざまな財務管理ソフトを企業や個人事業主に提供するSaaS企業です。
ツール導入後に顧客と綿密なコミュニケーションをはかり、今後の活動予定や成し遂げたい目標などを伴走しながらスケジュールを組み立てるようです。
ツールによって業務を効率化したいという表面的な課題だけでなく、「事業を拡大したい」などの、もう一つ深い階層の動機を見つけ、顧客が本当に成し遂げたいことに向かえるようサポートするのが特徴のようです。
参照:ビジネスカンパニーのカスタマーサクセス対談<後編>
参照:お客様に寄り添う「伴走者」でありたい。“導入後サポート”にこだわるカスタマーサクセス担当者
参照:お客さまの期待を超える支援こそが、カスタマーサクセスの真価|私たちの職務経歴書 ~ 井上雄介
株式会社ラクス
出典:株式会社ラクス
株式会社ラクスは、経費精算や請求書管理を始めとした、クラウドサービスを中小企業向けに提供している企業です。
オンボーディング(導入)⇒アダプション(利用定着)⇒エクスパンション(プランアップ・アップセル)というサイクル全体へのフォローへと進んでいるようです。
また、顧客の声に耳を傾けて、プロダクトへ反映し続けることで、プロダクトをアップデートし続けてきたとのことです。
参照:カスタマーサクセスを「数字を生む組織」にして、会社をスケールする
参照:ラクスの”カスタマーサクセス”とは何か
参照:誰もが成果を上げやすい仕組みを作り、カスタマーサクセスの再現性を高めたい
スパイダープラス株式会社
出典:SPIDERPLUS
スパイダープラス株式会社は、現場管理アプリ「SPIDERPLUS」を提供するSaaS企業です。
「SPIDERPLUS」は建築業、プラント・製造業、電気工事など、さまざまな業種の現場で活用されており、それぞれに対応した機能の違いがあるようです。
そのため、カスタマーサクセスでは、各業種に合わせた機能の違いを顧客へ丁寧に説明し、現場の業務効率化へ向けた取り組みをサポートしているようです。
参照:人と働き方
参照:【カスタマーサクセス部マネジメント職対談】成長を止めないマインドをもって
まとめ|カスタマーサクセスへの転職はhape Agentへご相談!
本記事では、カスタマーサクセスの業務内容や向いている人の特徴、将来性などをご紹介しました。
カスタマーサクセスは営業職とは違い、顧客に継続利用してもらうことをゴールとして、商品やサービスを通じたコミュニケーションをとる職種です。
SaaS市場の成長に合わせて、カスタマーサクセスの需要も増えると予想されるため、接客業や販売業の経験のある人は、求人もチェックしてみるとよいでしょう。
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この記事の監修者
hape Agent編集部
営業職特化だから選ばれる営業転職エージェント「hape Agent」の編集部です