2024年07月30日
MR営業とは? 働き方や3つの魅力、必要な資格・スキルも紹介
「MR営業って何をする仕事なんだろう?」
「MR営業って稼げるの?」
本記事を読んでいる方の中には、医療業界に興味のある営業職の方やMR営業へ転職を検討している方も多くいるかと思います。
MR営業は、医薬品の情報提供を行う専門性の高い営業職です。専門性が高いからこそ高収入を得られたり、一方で日々の学習が欠かせなかったりと、さまざまなよさや大変さがあります。
本記事ではMR営業の仕事内容やMSとの違いを紹介していきます。MR営業ならではの仕事の魅力や大変さ、どのような人におすすめかも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
MR営業の仕事内容とは? 医薬品の情報提供と収集をする仕事
MRは「Medical Representatives」の略であり、日本では「医薬情報担当者」と呼ばれます。
具体的には、製薬会社に勤務し、医療従事者へ自社の医薬品の有効性や安全性の説明と提供を行う営業担当者をさします。
営業と聞くと、いかに自社の医薬品を買ってもらうかを考える仕事というイメージがあるでしょう。
しかし、MR営業は医薬品の有効性や安全性の説明と、医療従事者からの効果や副作用などのフィードバックを持ち帰る業務がメインです。
そのため、一般的な営業スキルに加えて、医療に関する情報収集や医療従事者とのコミュニケーション、業界知識などが求められます。
MR営業の働き方は? 2つの種類
MR営業の働き方には大きく2つあります。
- ①医薬品メーカーのMR
- ②医薬品メーカーの営業代行をするMR
いずれも業務内容は大きく変わりませんが、勤める企業によって働き方は異なる場合があります。MR営業への転職を検討している方は、2つの違いを把握しておきましょう。
①医薬品メーカーのMR
医薬品メーカーのMRは、製薬会社に勤めて自社の医薬品の営業をする働き方です。
医薬品メーカーとしては、アステラス製薬株式会社やファイザー株式会社などが代表的な企業として挙げられます。
製薬会社ごとに、がん・消化器・免疫疾患など特化している領域がさまざまです。そのため、医薬品メーカーのMRは、特定領域の医薬品の高い専門性を身につけられます。
また、製薬会社には製造部門や事務、広報などさまざまな部署があるため、営業として入社した場合でも、他の部署へ異動になる可能性もあるでしょう。
②医薬品メーカーの営業代行をするMR
医薬品メーカーの営業代行をするMRは、CSO(Contract Sales Organization)「医薬品販売業務受託機関」で営業をする働き方です。
CSOは、製薬会社から医薬品の営業や広報を請け負う企業であり、CSOのMRは「コントラクトMR」とも呼ばれます。
業務内容は製薬会社のMRと大きく変わりません。しかし、製薬会社はさまざまな部署を持つ反面、CSOは営業に特化しているため異動となるケースが少ないです。
製薬会社がコントラクトMRを採用する目的は、即戦力の欠員の補助や新薬の大規模なマーケティングを行う場合が多いです。
そのため、医薬品の専門知識に加えて高い営業スキルが求められます。
MRとMSとの違いとは? 医薬品の販売のみを行う仕事
MRと混同されやすい職業として、MS(Marketing Specialist)が挙げられます。
MSは「医薬品卸売会社」と呼ばれる、さまざまな製薬会社の医薬品を医療機関や薬局へ流通させる企業の営業担当者です。
MRが医薬品の有効性や安全性などの情報提供と収集を行うのに対し、MSは販売や流通、納品が主な業務となります。
また、MRとMSもお互いに連携しており、MRは医薬品の情報をMSへ提供し、MSは薬局や医療機関などの現場の声をMRへ伝えます。
MRは医薬品の情報提供が主な業務ですが、MSは販売して利益を上げなければなりません。そのため、医療に関する知識に加えて、価格交渉や売り上げ管理など営業職としての高いスキルも必要です。
MR営業の魅力とは? 3つのやりがい
ここからは、MR営業の魅力を3つにまとめて紹介していきます。
- やりがい①MRの年収は比較的高い
- やりがい②医療業界に携われる
- やりがい③専門知識が身につく
MR営業は専門性の高い仕事のため、MRならではの魅力ややりがいがあります。3つの魅力を順番にみていきましょう。
やりがい①MRの年収は比較的高い
MR営業のやりがい1つ目は、年収の高さです。
MR営業の平均年収は、「求人ボックス」では509万円、MR転職に特化した転職サイト「MRbiz」では707万円とそれぞれ算出されています。いずれも、日本の平均年収と比較して高い傾向にあります。
外資系企業であれば成績次第でインセンティブも上乗せされやすいため、より高年収を狙いやすいです。
また、製薬会社の特徴に福利厚生が充実している企業が多い点が挙げられます。そのため、同じ給与水準の企業と比較しても手取り額が多くなる可能性があります。
やりがい②医療業界に携われる
MR営業のやりがい2つ目は、医療業界に携われる点です。
MR営業は医薬品を提供して大切な命を守ったり、辛い症状から患者を救ったりなど、医療の現場に貢献できる仕事です。
また、業界に長く携わり医療の現場からのフィードバックを豊富に持ち帰ることで、新薬の開発にも貢献できます。
情報収集や業界知識の学習、医療従事者への的確な情報提供など、激務に追われることも少なくありませんが、そのやりがいは十分に感じられるでしょう。
ただし、責任の大きさも理解しておく必要があります。
やりがい③専門知識が身につく
MR営業のやりがい3つ目は、専門知識が身につく点です。
MR営業は医薬品や病気に関する知識、業界のトレンドなど、他の業種では得られない知見を身につけられます。営業先である医療従事者との人脈を築けるのも、MR営業ならではの特色です。
また、MR営業として実績を残すためには、情報収集力やコミュニケーション能力が欠かせません。そのため、他のどのような仕事にも活かせる貴重な学びを得られます。
MR営業はきつい? 大変といわれる3つの理由
MR営業はやりがいがある反面、きついといわれる場合もあります。ここでは、MR営業が大変と言われる理由を3つにまとめて紹介します。
- 大変さ①ノルマが課せられる
- 大変さ②オンとオフが分けづらい
- 大変さ③日々学習しなければならない
MR営業に興味のある方は、やりがいと同時に大変さもしっかり理解しておきましょう。
大変さ①ノルマが課せられる
MR営業の大変さ1つ目は、ノルマが課せられる点です。
一般的に、MR営業のノルマは、個人や支店ごとの売り上げや新規開拓件数です。ノルマは給与や昇格にも影響するため、達成できなければ年収アップは見込めないでしょう。
そのため、いかに自社の医薬品の有効性や安全性を売り込むか、コミュニケーション能力を磨いて医療従事者からの信頼を勝ち取るかが重要になります。
大変さ②オンとオフが分けづらい
MR営業の大変さ2つ目は、オンとオフが分けづらい点です。
MR営業のお客様は、多忙な医師です。お客様のスケジュールに合わせて動くことが多いため、早朝や深夜、休日の稼働も少なくありません。
また、休日を医療や業界知識を学習する時間に充てるとなると、まったく仕事をしない日は確保しづらいでしょう。ノルマを達成しなければならない職業であるが故、ある程度仕事のことを考えて生活する必要があります。
大変さ③日々学習しなければならない
MR営業の大変さ3つ目は、日々学習しなければならない点です。
基本的な医療の知識に加えて、日々更新される国内外の医療に関するニュースや新薬の開発に関する情報など、学ぶことは数え切れません。
上記のような知識をただ覚えるだけではなく、医療のプロと対等に会話ができるレベルまで落とし込む必要があります。
さらに、営業で結果を出すためには、営業スキルの研磨や効率よく動けるスケジュール調整なども必要です。
MR営業はおすすめ? 向いている人の特徴3つ
では、どのような人がMR営業で活躍できるのでしょうか?MR営業に向いている人の特徴は以下の3つです。
- 特徴①交友関係を築くのが得意な人
- 特徴②フットワークの軽い人
- 特徴③稼ぐ意欲のある人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
特徴①交友関係を築くのが得意な人
MR営業に向いている人は、交友関係を築くのが得意な特徴が挙げられます。
MR営業のお客様である医療従事者は、多忙なスケジュールのなかで働いています。そのため、一方的に自社製品の営業だけをしても、話すらも聞いてもらえません。
相手のスケジュールや事情を汲み取ってコミュニケーションをとれる人でなければ、自社製品を取り扱ってもらえないでしょう。
MR営業は、価格交渉が禁止されていたり、過度な製品の販促ができなかったりするため、お客様からの信頼を得るのが成功の秘訣です。
特徴②フットワークの軽い人
MR営業に向いている人の特徴として、フットワークが軽い点が挙げられます。
MR営業は1日に何件も医療機関を回り、自社製品の営業を行います。ただし、医療従事者は多忙なため無駄足となることも多いでしょう。
それでも数を打つことにこだわり、お客様の時間が空けばすぐに向かう姿勢のある、フットワークの軽い人が活躍できます。
特徴③稼ぐ意欲のある人
MR営業に向いている人の特徴として、稼ぐ意欲がある点が挙げられます。
MR営業の給与は、営業成績によって変動する場合が多いです。そのため、MR営業は現状維持ではなく今以上に成績を上げて年収アップを目指す人に適した環境です。
MR転職に特化した転職サイト「MRbiz」によれば、年収1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
責任感の大きさや多忙な業務に追われるものの、対価として大きな年収を得られる可能性のある仕事です。
MR営業になるには? 求められるスキル3つ
ここからは、MR営業に求められるスキルを3つにまとめて紹介します。
- スキル①コミュニケーション能力
- スキル②情報収集力
- スキル③忍耐力
ここまでの内容を踏まえ、すでにイメージのついている方も多いでしょう。あらためて、それぞれ詳しく見ていきます。
スキル①コミュニケーション能力
自社製品を売り込む営業力以外にも、お客様からの信頼を得られるコミュニケーション能力が必要です。
MR営業のメイン業務は、医薬品に関する情報の提供と収集です。お客様である医療従事者や同業他社、MSなどさまざまな人に信頼されなければスムーズに仕事を進められません。
MR営業への転職を検討している方は、これまでのキャリアを振り返りコミュニケーションが得意かどうか見つめ直してみるとよいでしょう。
スキル②情報収集力
MR営業は医療や業界の知識、最新の医薬品に関するニュースなど、さまざまな情報を日々収集しなければなりません。
しかし、収集する情報は膨大です。マイペースに情報を集めるのではなく、必要な情報を効率よく収集し、いかに簡潔にまとめられるかが鍵になります。
情報収集力は、MR営業に必須のスキルです。
スキル③忍耐力
MR営業に求められるスキルとして、忍耐力が挙げられます。
お客様から信頼を得られるまでは、話を聞いてもらえなかったり、自社製品を思い通りに売り込めなかったり、つらい日々を過ごすこともあります。
特に経験の浅い期間は、薬の有効性や安全性を説明できず、お客様からも信頼されづらいでしょう。それでも辛抱強く、日々学習を怠らずに挑戦できる人はMRでも活躍できます。
業界に長くいればいるほど信頼を得て人脈も増やせるため、忍耐力をもって業務に従事できる人にはおすすめの職業です。
MR営業は資格が必要? あるといい2つの資格
最後に、MR営業になるにあたって有利になる資格を紹介します。
- 資格①MR認定証
- 資格②普通自動車運転免許
MR営業への転職を検討している人はチェックしておきましょう。
資格①MR認定証
MR認定証とは「公益財団法人MR認定センター」が実施する、MRの品質向上を目的とした資格です。MR認定証は必須ではないものの、ほとんどの製薬会社で入社後に資格取得を求められます。
また、MR認定証がなければ入れない病院もあるため、MR営業で働く場合は取得しておきたい資格です。
資格②普通自動車運転免許
MR営業では1日に何件もの医療機関を訪問するため、車の運転免許がなければ日々の業務に支障が出やすくなってしまいます。
病院やクリニックが徒歩で回れる範囲に何十件もある地域は珍しいため、営業の際の移動は車が基本です。MR認定証が必須ではない製薬会社も、車の運転免許は必須となっている場合が多い傾向にあります。
MRの将来性は? 人材は減少傾向にある
MR営業の働き手は、年々減少傾向にあります。
公益財団法人MR認定センターが公表している「MR白書2023」によれば、2022年度のMRの数は、前年から2166人の減少となっています。
出典:2023年版 MR白書 -MRの実態および教育研修の調査-
MRの働き手が減少している背景の1つが、厚生労働省が2019年に発表した「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインについて」です。
上記ガイドラインは、製薬会社の売上至上主義による不適切なプロモーションや販促活動を取り締まるために設けられました。
言い換えれば、より専門性が求められる少数精鋭の働き方へとMRは変革しているといえます。そのため、MR営業としてスキルを身につけ経験を積めば、業界内でも貴重な人材となれるでしょう。
まとめ
本記事では、MR営業の仕事内容や仕事のやりがい、大変さを紹介しました。
MR営業は医療業界に携われる専門性の高い営業職です。ノルマや日々の学習など比較的負担は大きいですが、給与ややりがいなども大きな仕事です。
自身の営業スキルを活かしながら医療業界で働きたい方は、ぜひMR営業をおすすめします。
とはいえ、製薬会社にもさまざまな企業があり、MRの働き方もコントラクトMRや製薬メーカーのMRなど多様です。せっかくなら自身に適したSES企業で活躍したいですよね。
hape agentでは90%以上の書類選考の通過率を誇り、面接後3人に1人が内定を獲得しています。今よりもっと貢献できる仕事を探したいなら、一度転職のプロに相談してみるのがおすすめです。