2024年10月09日
SaaS営業とは?一般営業との違いと特徴4つ!向いている人も紹介
「SaaS営業に挑戦してみたいけど、業界の概要や具体的な仕事内容がよくわからない」 という悩みを持つ新卒や他業種の営業の方もいるかもしれません。
SaaSとは、インターネット経由で提供する新しいサービスの形で、料金体系や営業の役割も今までのソフトウェア販売とは異なります。
本記事では、SaaSについての簡単な説明から、SaaS営業と一般営業の違いを特徴や働き方、必要なスキル、そして気になる年収面について解説します。
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SaaS営業とは?4つのポイントで解説
SaaS(Software as a Service)は、パッケージソフトを購入してインストールする従来のやり方とは異なり、インターネットを介して提供されるサービスです。
SaaSと聞いてもいまいちピンとこないと思いますが、以下のようなシステムは全てSaaSに該当します。
- Microsoft 365やGoogleアプリなどのオフィスソフト
- GmailやYahoo!メールなどのWebメール
- SlackやChatworkなどのチャット
- ZoomやGoogle Meetなどのビデオチャット
まずは、従来の営業とSaaSの営業の違いから見ていきましょう。
- SaaS(Software as a Service)の営業
- SaaSの種類2つ
- SaaSの料金体系4つ
- SaaS業界の現状と展望
SaaS(Software as a Service)の営業
SaaSはインターネットを介して提供されるサービスで、サブスクリプションや従量課金で利用者に長く使い続けてもらうことを目的にしています。
また、利用形態も従来のインストールして使うパッケージソフトと違い、ブラウザでアクセスするサービスが多いです。
そのため、営業スタイルも、SaaSには従来の営業とは異なる点があります。
SaaSの種類2つ
SaaSには「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の2種類があります。
SaaSの種類 | 説明 |
---|---|
ホリゾンタルSaaS | ホリゾンタル(horizontal)は「水平」を意味し、横に広がったさまざまな企業や部署問わず利用できるSaaS
|
バーティカルSaaS | バーティカル(vertical)は「垂直」を意味し、特定の業種に特化してSaaS
|
企業ごとの簡易なカスタマイズはホリゾンタルSaaSでも対応可能ですが、業界独自の複雑なルールや運用方針となるとホリゾンタルSaaSでは対応しきれません。
そのため、業界に特化したバーティカルSaaSを利用することになります。
ただ、そのような業界であっても、勤怠管理や経費精算のような業界問わない処理があり、その場合はホリゾンタルSaaSを利用します。
SaaSの料金体系4つ
SaaSの料金体系は以下の4つです。
料金体系の種類 | 説明 |
単一価格モデル | サービスに対して価格体系が1つのモデル
【メリット】
【デメリット】
|
複数パッケージ価格モデル | 複数のプランを提供する価格帯系
【メリット】
【デメリット】
|
従量課金モデル | ユーザー数や利用時間などで料金が決定される価格帯系
【メリット】
【デメリット】
|
フリーミアム | 無料プランと有料プランを用意した価格帯系
【メリット】
【デメリット】
|
このように互いにメリット・デメリットを補完し合う価格帯系がSaaSでは使われています。
SaaS業界の現状と展望
SaaS業界の市場は右肩上がりといわれており、今では多くの企業が何かしらのSaaSを利用している状況です。
企業にスピードが求められDX(Digital Transformation)が推進される昨今、SaaSは重要なパーツとなります。
また、コロナ禍の影響で働き方が変化し、SaaS利用の後押しとなりました。
以前に比べコロナは影を潜めましたが、テレワークでの働き方は定着している企業が多く、DXもまだまだ推し進められているなか、今後もSaaS業界は成長していくでしょう。
SaaS営業と一般の営業の違いは?4つの特徴
パッケージソフトのように売って終了するビジネスモデルとは異なり、SaaSは利用者に長く使い続けてもらう必要があります。
そのためには、SaaS利用中もフォローが必要です。
いかに長く利用してもらい売上を向上させるかという意味では、SaaSのサービスを導入していただいたところがスタートともいえます。
そのため、SaaSの営業は一般的な営業とは対応が異なります。
SaaS営業の特徴としては以下の4点です。
- 職種が別れている
- 単発の売上よりも継続利用を重視する
- LTV(顧客生涯価値)を指標とする
- 自社へのロイヤルティを大切にする
一般的な営業との違いを掘り下げて見ていきましょう。
①職種が別れている
一般の営業は、顧客からのヒアリングから提案や交渉を行い、クロージング(成約)まで一人の営業で対応します。
しかし、SaaSはクロージングで終わりではなく、その後のフォローも重要です。
ただ、アフターフォローまでを営業担当一人で賄うには限界があります。
基本的にSaaSの営業は営業プロセスごとに担当を分けて対応します。
そのため、営業の各段階で必要なフォローをしっかり行うことができ、顧客を成功へ導くことが可能です。
②単発の売上よりも継続利用を重視する
SaaSの価格体系は、継続して収益を上げていく形になっています。
パッケージソフトと異なり、SaaSは導入での費用などがないため長期的な売上を目指します。
SaaSによっては初月無料のようなサービスがあったり、そうでなくとも利用しやすい価格設定のサービスも多いため、短期間の売上では利益になりません。
そのため、長期間SaaSを利用してもらうためには継続的なサポートが不可欠です。
③LTV(顧客生涯価値)を指標とする
SaaSは、長期間利用してもらい収益を上げることが目標です。すなわち契約開始から契約終了までのトータルの収益向上を目指します。
この契約開始から契約終了までをLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という指標で管理します。
LTVは「顧客の平均購入単価 x 平均顧客寿命」で計算可能です。SaaSの営業職として活躍するためにも、LTVの算出方法を理解しておきましょう。
④自社へのロイヤルティを大切にする
ロイヤルティ(Loyalty)とは、信頼や愛着を意味します。
「LTVを高くする」「契約を長く続けてもらう」ためには、自社への信頼や愛着を高めてもらうことが必要です。
自社へのロイヤルティが高い状態になると、LTVへの期待だけではなく、顧客による口コミでの拡散にも期待できます。
自社へのロイヤルティは、NPS(ネット・プロモーター・スコア)で数値化されることが多いです。
SaaS営業の仕事内容は?4つのプロセス
SaaSの営業の具体的な役割としては以下の4つです。それぞれの役割を深掘りして解説します。
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
①マーケティング|顧客開拓
マーケティングは「顧客開拓」が主な業務です。自社のSaaSを知ってもらうために、ネット広告やセミナーやメルマガなどでサービスをアピールします。
問い合わせのあった潜在顧客層をもとに見込み顧客をリストアップします。
推定LTVが高い見込み顧客獲得のために、確度の高いターゲティングやセグメンテーションの設定がポイントです。
②インサイドセールス|見込み顧客への営業
インサイドセールスは見込み顧客への営業が主な業務です。
マーケティングによってリストアップされた見込み顧客へ、電話やメールやチャットなどを使い、非対面の営業を行います。
そのなかで、サービスへの興味・関心やいつ頃の導入を考えているかなどの情報を引き出すことが目的です。
引き出した情報から確度の高い顧客とのアポイントメント獲得を目指し、クロージング(成約)のためにフィールドセールスに引き渡します。
③フィールドセールス|クロージングから商談
フィールドセールスは、見込み顧客と商談を行いクロージング(成約)を目指します。ただし、SaaSのゴールはクロージングで終わりではありません。
その後の契約継続や、より高いプランへの変更などでLTVへの貢献が重要です。
そのため、フィールドセールスの役目として、クロージング後も顧客と良好な関係を築き続ける必要があります。
同業他社や業界に対するアンテナを高く持ちつつ、顧客の役に立つ情報や戦略を提供し、顧客のモチベーションを高く保つことも大切です。
④カスタマーサクセス|契約後のフォロー
カスタマーサクセス(CS)は契約後のフォローが主な業務となります。
LTV貢献のため、SaaSでは長期の契約継続が重要な目標の一つなので、顧客の継続利用を定着させることがカスタマーサクセスの役割です。
カスタマーサクセスは顧客のビジネス成功のために伴走する立場で、サービスのサポートやアップグレードを促します。
また、カスタマーサクセスを通して顧客満足度を高めてもらい、自社へのロイヤルティの向上を目指します。
SaaS営業で働くメリット・デメリットとは?
どのような仕事にもあるように、SaaS営業として働くうえでもメリットとデメリットがあります。
メリット |
|
デメリット |
|
これらのメリット・デメリットをよく理解し、自分の状況と見比べつつSaaS営業にチャレンジは重要です。
SaaS営業のメリット3つ
SaaS営業のメリットとして、まず押し売りや飛び込み営業がない点があります。
SaaSは長期的な契約の継続に重きが置かれるため、顧客からの信頼は重要です。そのため、顧客に避けられるような押し売りのような営業アプローチはSaaSでは行いません。
SaaSは今現在も成長を続けている業界ですが、転職市場にSaaS営業は少ないのが現状です。
それゆえ、SaaS業界で成果を上げられる営業マンは、市場価値の高い人材になれる可能性があります。
違う切り口として「働き方の自由度の高さ」もメリットです。SaaS業界では、フレックスタイムでの働き方やテレワーク業務を認めている企業が多くあります。
ワークライフバランスを大切にしたい方やご家庭に事情がある方でも働きやすい環境になるでしょう。
SaaS営業のデメリット3つ
SaaS営業のデメリットとして、まず単発での利益が上げにくい点があります。SaaSは、導入の際に大きく利益を上げるビジネスモデルではないためです。
そのため、不動産や金融のような大きな金額を動かすような営業がしたい方にとっては、物足りなく感じるかもしれません。
単発の利益が大きくないため、インセンティブも他の業界の営業に比べ比較的少ない傾向にあります。
また、SaaSはサービスを提供する大きな仕組みに対し、さまざまな顧客がそれを利用するビジネスモデルのため、顧客ごとのカスタマイズには対応しません。
そのため、SaaSとして用意されたサービス内容のなかで、顧客の要望を叶える必要があり、売りづらい顧客への対応は難しいです。
SaaS営業には何が必要?求められるスキルと経験6つ
SaaS営業を目指す際に求められるスキルと経験として、以下の6つが存在します。
- SaaS業界の知識
- プロダクトの理解
- ヒアリング力
- ロジカルシンキング
- 課題解決力
- チームワーク
当然ですが、Saas営業は商品の概要を理解しないと結果を出すのが難しいので、業界の知識を含めて事前に理解しておかなくてはいけません。
また、SaaSで顧客の課題解決をしてもらうためには、顧客の要望を引き出せる「ヒアリング力」と「課題解決力」が必要です。
また、SaaS営業はプロセスごとに対応していくため、チームワークも重要になります。
①SaaS業界の知識
SaaS業界で営業をするには、当然SaaS業界の知識が必要になります。
そもそもSaaSとは何か、どのような使い方をされるのかというSaaS自体の理解が必要です。
これらの知識がない状態では、営業アプローチに対する顧客からの納得感や信頼感を得るのは難しくなります。
②プロダクトの理解
売るためのプロダクトの理解も、当然SaaS営業として必須です。
自社プロダクトの理解が足りない状態では、満足に顧客に説明できないだけでなく、顧客からの質問にも正しく回答できません。
顧客からの質問に答えられないと、顧客からの信頼度にも悪影響を及ぼします。
また効果的な営業アプローチのためには、プロダクトの競合他社の理解も必要です。
深い専門知識は顧客に安心感も持たせ、信頼につながります。
③ヒアリング力
SaaS営業は、ヒアリング力も重要なスキルの一つです。
顧客に適切な提案をするためには、顧客の状況や環境、課題の把握などしっかりとしたヒアリングが必要です。
SaaS営業はプロセスごとに対応し、チームメンバーと協力して業務を行います。ヒアリングが甘かったり誤認していると、チームメンバーにも影響してしまいます。
契約自体の成功率も、その後の継続率にも影響があるため、ヒアリング力は非常に大切です。
④ロジカルシンキング
ロジカルシンキング(論理的思考)も営業としては必要なスキルになります。
ロジカルシンキングは原因と結果をはっきりさせ、そのつながりを明確にする思考法です。
これにより、聞き手となる顧客はサービスや課題解決の提案の説明が理解しやすくなり、納得感が増します。
逆に、こちらが聞き手になった際も顧客側の話で論理の飛躍などあり、把握が難しい際にその点を指摘でき、互いの認識齟齬などを避けられます。
顧客の企業課題を正しく把握し、そこからどのようなアプローチ、どのタイミングで課題対策を行い、どのように提供サービスを絡めるべきかを流れで検討し顧客に納得してもらうことが重要です。
⑤課題解決力
課題解決力とは、顧客が認識している課題はもちろん、顧客自身も気付いていない課題を明確にして解決策を提案する能力のことです。
そのためには顧客の業界に高くアンテナを張り、動向の深い理解が必要です。
顧客の要求以上のサービスの提案が顧客の信頼につながり、長期的な契約や単価の向上に期待できます。
⑥チームワーク
SaaSはプロセスごとに違う担当で対応していきます。そのため、チームワークは欠かせません。
一般的な営業のように自分の力だけで成功に導くのではなく、チームで協力して全体として成功させることが重要です。
チームワークを乱さないようにするためにも、報連相に気を使いつつ、常に最新情報を共有するよう心がけましょう。
SaaS営業に向いてる人材とは?おすすめの人3選
SaaS営業の話をさまざまな切り口で書いてきましたが、実際SaaS営業に向いている人材はどのような人なのでしょうか。
ここでは、SaaS営業に向いている人の特徴を紹介します。
- 他領域で営業力を活かしたい人
- ゼロイチの経験を積みたい人
- 新しい環境で働きたい人
①他領域で営業力を活かしたい人
メーカーや製造業などの営業経験があるけれど、WebやIT分野の新しい営業で営業にチャレンジしたい方には、SaaS営業がおすすめです。
今までの経験やスキルが活かせ、さらに成長しているSaaS業界に身を置くことで自身の市場価値を高められるでしょう。
また、異業種での経験は、SaaS営業において独自の視点やアプローチになり、競合企業とは異なる提案につながる可能性があります。
②ゼロイチの経験を積みたい人
SaaS営業はベンチャー企業に多い傾向があるため、ゼロイチの経験を積みたい方に適しています。
新規事業の立ち上げは独特の面白さや苦労があるため、ゼロイチの経験を積みたい人におすすめです。
新規事業は基本的にルールが決まっていないため、さまざまなチャレンジができる傾向にあります。
ゼロイチの経験は営業としての自身の市場価値も高められるでしょう。
③新しい環境で働きたい人
SaaS業界は新しい考えを取り込んでいる企業が多く、フレックスタイム制やテレワークを許可しているため、柔軟な働き方が可能です。
従来の固定された出勤時間での働き方やオフィスへ通勤する働き方とは異なり、自分のペースで働ける可能性があります。
新しい労働環境で自分のワークライフバランスに合わせて働くことで、仕事に対するモチベーションも高く保つことができるでしょう。
SaaS営業の求人動向は?
コロナ禍での働き方の変化からDXが大きく進みSaaSに注目が集まりました。
その結果、SaaS企業の増加に伴い求人数も増えています。
SaaSは利便性やコストの面から多くの企業が導入を進めており、SaaS企業側も人材を求めている状況です。
採用対象は経験者だけではなく、未経験者も含まれています。
また、SaaSを利用する企業業界は多岐に渡るため、SaaS企業側も新しい視点やアイデアを求める傾向にあります。
そのため、SaaS未経験だとしても、他業界での実績があれば活躍できる可能性もあるといえるでしょう。
SaaS営業に関するよくある質問
SaaS営業に関するよくある質問として、SaaS営業の年収があります。
仕事のやり甲斐や経験を積む目的での転職もありますが、転職での大きな理由の一つは年収です。
また、SaaS営業は市場価値が高められると書いてきましたが、実際にそうなのかも気になるところだと思います。
最後に、SaaS営業に関するよくある質問を2つ紹介します。
- SaaS営業の年収は?
- SaaS営業は市場価値を高められる?
SaaS営業の年収は?
SaaS営業の平均年収としては596万円程度となっており、他の業界と比べ高めです。
また、SaaS営業はプロセスごとに担当が違いますが、年収幅の下限としては400万円〜(カスタマーサクセス除く)が多いです。
カスタマーサクセスは下限が300万円〜と若干低く、管理職・マネージャーになると下限は600万円〜ラインとなります。
SaaS営業は市場価値を高められる?
SaaS営業は、自身の市場価値を高められます。SaaS業界自体が現在も成長しているので、今後の需要拡大に期待できるからです。
求人数が多いなか「SaaS営業経験者がいない」「需要と共有のバランスが取れていない」状況でも市場価値を高める理由です。
SaaSの需要は日本だけではなく世界規模のため、これからも業界の成長には期待できるでしょう。
まとめ
SaaSは、年々需要が高まっているため、今後も期待できる業界といえます。世界的に見るとSaaSの重要性は認識されていますが、日本ではまだまだこれからです。
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この記事の監修者
hape Agent編集部
営業職特化だから選ばれる営業転職エージェント「hape Agent」の編集部です